はい。こんにちは。
マダオです。
Youtubeにて糖尿病を解説されている現役医師の動画を紹介するシリーズ、『気になる先生を追え』の時間がやってきました。
今回は、糖尿病内科医あーこ先生の動画のご紹介です。
(以下本ブログではあーこ先生とお呼びします)
あーこ先生は、一言で言うと丁寧な先生なのだと思います。
YOUTUBEでありがちな「これだけやればOK!」みたいな乱暴な話は一切ありません。
基本に忠実でありながら非常に丁寧。患者の実生活にあわせたアドバイスなども豊富です。
加えて、とても面白いのは、本動画のように独自研究と思われる内容も公開されているところです。
患者の立場で手に入る情報に類似のものはなく、マダオが実際に通う診察室でもこのような分類をしている気配はないので、独自研究という判断をしたのですが、違っていたらごめんなさい。とにかくメチャクチャ有用な情報だと思うので、自分の勉強とあーこ先生の応援を兼ねてまいります。
簡易レジュメ
糖尿病の9割を占める2型糖尿病。
同じ2型糖尿病といっても、治療方法は色々あるし、患者さんごとに合う治療内容、合わない治療内容がそれぞれ違います。
今回は2型糖尿病をおおまかに3種類に分けて、それぞれの対策を考えてみたいと思います。
この表を見てください。
2型糖尿病の場合、血糖値が上がる原因として『インスリン抵抗性が大きい』、『インスリン分泌が低下している』という2つの要素があります。
どちらもなければ正常です。
①だと『インスリン抵抗性が大きい』要素がメインのため、インスリンは出ているけれど、インスリンの効きが悪い状態です。
②だと『インスリン分泌が低下している』要素がメインのため、インスリンの効きは良いけれど、インスリン分泌が低い状態です。
③は『インスリン抵抗性が大きい』そして『インスリン分泌が低下している』。どちらも同等の場合となります。
①『インスリン抵抗性が大きい』がメインの対処方法。
脂肪肝があったり、肥満だとインスリン抵抗性が大きいと考えてよいです。
血糖値を下げるために、インスリンは出すぎています。
①のパターンが一番糖尿病治療がやりやすいです。
本人の努力次第ですごく良くなる段階です。
②や③のようにインスリン分泌が落ちてしまった場合は努力で分泌を増やすということはあまりできません。
①のパターンは、ダイエットをするだけで劇的に血糖コントロールが改善します。
脂肪肝が原因で肝臓の数値(AST、ALT)が高い場合は、それも指標になります。
甘いものなどの単純糖質を徹底的に抑えたり、総カロリーを抑えて運動なども取り入れてダイエットすると、肝臓の数値は下がるし、HbA1cもものすごく下がることが多いです。
ただ、そのよい状態を維持するということが大変至難の技なんですよね。
「ダイエットしたら良くなるからいつか頑張ろう」と思って血糖値が悪いまま過ごしていると年をとるごとに③のパターンへ移行してしまいます。
②『インスリン分泌が低下している』がメインの対処方法。
痩せ型の人に多いです。
インスリン抵抗性はあまりなく、インスリンが遺伝的に出にくい、膵炎を起こした、膵臓をかなり切除してしまった、そういう場合となります。
②のパターンの方は、頑張ってもHbA1cが下がりにくかったり、節制しても何故か血糖値が上がるという悩みを持つ方が多いです。
インスリン分泌低下状態がかなり進んでいる患者さんの場合、強化インスリン療法をおそらく半永久的にしていかなくてはいけない、と最初からお伝えしなければなりません。
②のパターンで一番使われる経口薬は血糖依存性インスリン分泌促進薬のDPP4阻害薬です。GLP1受容体作動薬やツイミーグも候補に入ると思います。それだけではコントロールができない場合、血糖値に関わらずインスリンを出す薬(SU薬等)を使うことが多いです。ただケースバイケースなので、一律にこの治療が良いとは言えません。基本的には膵臓を守ることが大事になります。
経口薬を使用してもコントロールがうまくいかない場合は、インスリン治療をすることになります。また膵臓が弱り切る前に早めにインスリン治療を始めておくというのも1つの方法です。膵臓が弱り切ると、その後の血糖コントロールが大変難しくなることがあるからです。
③『インスリン抵抗性が大きい』&『インスリン分泌が低下している』の対処方法。
治療が一番むずかしいタイプです。
もともと①や②だった人が、③に進んでしまった状態といえます。
なので治療方法は①と②のミックスになります。
経口薬を総動員して、それでもダメなら、インスリン治療を追加することになります。糖毒性が高い場合は、最初から飲み薬なしでインスリン治療が必要という場合もあります。
ダイエットや糖毒性の解除などで、インスリン抵抗性が劇的に改善した場合、インスリン治療を止められることもあります。
ただ、血糖コントロールが良くない状態で、だんだん飲み薬が増えていき、インスリン治療が必要になった場合は、なかなかインスリン治療を止めるのは難しいかもしれません。
最後に
2型糖尿病は人それぞれで、細分化したらきりがないし、オーダーメイドの治療を受けるのが一番とは思います。そうは言っても考え方のベースはあるので、今回は大まかに2型糖尿病を大まかに3種類に分けて考えて、それぞれの対策を考えてみました。
レジュメ化作業してわかったんですが、語り口が優しいからといって、理解がし易いわけじゃないってこと。
前提となる知識量・理解力が違いすぎて・・・。あーこ先生、丁寧な説明ありがとうございます。マジでギリギリ理解できました(多分)
ボヤキはここまでにして、大変有益な情報だと思います。
糖尿病腎症などは重症度によりステージが分かれていて、塩分やタンパク質の制限など対策も細かく分かれているんですが、肝心の2型糖尿病には、何の分類もありません。
分けていけば、きりがない、と言うのは事実でしょうが、患者にとっては、実は死ぬほど大事な分類となります。
あーこ先生の仰る内容によると①のパターンの人は薬なしで血糖コントロールを取り戻せる可能性を秘めているのです。つまり合併症リスクも通院の手間も医療費も最低限にできる可能性が残されているということになるでしょう。
以前の記事で取り上げた『寛解』状態に至れる患者というのは、この①の患者がほとんどなのではないでしょうか。
beast-of-no-possibility.hatenablog.com
そして、①から③に悪化するまでにかかる年数は、我々の想像よりかなり短期間である可能性があります。上記記事内のテイラー教授の研究によると寛解可能な期間は、発症後短くて3年、長くて10年程度のようです。
なので、空腹時インスリン濃度を測ったことがない方は、一度病院で測定してみた方がいいかもしれません。血液検査で測定してもらえます。
同時に血糖値も測定するでしょうから、手計算でHOMA-Rというインスリン抵抗性の値も計算できます。
Q.451 HOMA-R指数とはなんですか? | 糖尿病Q&A1000 | 糖尿病ネットワーク 様
もし、インスリン濃度が正常値で、インスリン抵抗性が高いだけならば、服薬や通院から卒業できるチャンスかもしれません。
当ブログの代表的な記事はこちら。
HbA1c9.7→4.8にするために何をしたか公開中。
beast-of-no-possibility.hatenablog.com
beast-of-no-possibility.hatenablog.com
なお、本記事はマダオ個人の体験談とそれに基づく感想です。
個人個人で体質も糖尿病の重症度も違いますので、運動・食事等については自身の主治医や栄養士など専門家の意見を参考に行って下さい。
参考にした著作・HP・動画は当ブログ管理人のマダオが自身の糖尿病生活の参考にするため、閲覧させていただいている先であり、当ブログとは一切関係がありません。当ブログの記述に不正確さがあった場合、全て管理人のマダオに責任があります。