可能性のない獣

半寝たきりの2型糖尿病患者が書くあれこれ

【マダオが気になる糖のニュース】真に目標とすべきHbA1cのラインはどこにある?

はい。こんにちは。

マダオです。

 

題名は気になるかもしれませんが、まずは1本ニュースの紹介をさせて下さい。

日本国内で6万人余りを対象に行われた研究をケアネット様で紹介されています。

 

糖尿病予備群もがん死のリスクが高い―日本人対象の職域多施設研究|医師向け医療ニュースはケアネット 様

 

主に民間企業の従業員を対象とした職域多施設研究「J-ECOHスタディ」という研究で糖尿病予備群の人たちの死亡率を調査した内容となります。

 

ADA基準で定義した前糖尿病の正常血糖に対する全死亡リスクはHR1.53(95%信頼区間1.12~2.09)と有意に高かった。死因別に見ると、がん死はHR2.37(同1.45~3.89)と、前糖尿病との関連がはっきりしていた。その一方で心血管死はHR1.00(同0.52~1.93)であり、有意な関連はなかった。

糖尿病予備群もがん死のリスクが高い―日本人対象の職域多施設研究|医師向け医療ニュースはケアネット 様

 

色々難しいことが書いてますが、大事なのは前糖尿病でも全因死亡率が1.5倍に跳ね上がっていた、という部分です。

 

前糖尿病?あまり聞いたことないけど、それってかなりHbA1cとか悪い人?

と思われたことでしょう。

ここで言う前糖尿病(糖尿病予備群)とは、空腹時血糖100~125mg、またはHbA1c5.7~6.4%に当てはまる人です。

 

つまり、HbA1c5.7~6.4に当てはまってる糖尿病予備群の人は、全因死亡率1.5倍になった、ということです。

でも思い出してみてください。ボクら糖尿病患者の目標HbA1cって7.0未満ですよ?

糖尿病患者のHbA1c6.4って、かなり数字が良いほうだと思うけど、それでも糖尿病予備群の1.5倍より死亡率が低いということはないでしょう。

 

だとするとHbA1c6.5%以上ある標準的な糖尿病患者の死亡率は、もっと高いということに・・・?

 

糖尿病については、全死亡(HR2.66、1.76~4.03)や、がん死(HR2.54、同1.25~5.15)に加え、心血管死(HR2.74、同1.29~5.81)の有意なリスク上昇が認められた

尿病予備群もがん死のリスクが高い―日本人対象の職域多施設研究|医師向け医療ニュースはケアネット 様

 

なんと全因死亡率2.6倍です。

alu.jp

 

前糖尿病(糖尿病予備群)の段階から、1.5倍の死亡率があるということに驚いていましたが、糖尿病になると更にドンと増えて2.6倍。洒落になっていません。

 

我が国の民間企業従業員を対象としている、というところから、被験者の年齢は、ほとんど65歳以下であろうことは予測がつきます。

それ以上の年齢の人たちも同じ話が適用されるかは、マダオでは分かりませんが、それより上の世代になったからと言って、唐突に全く関係なくなる、という話にはならないでしょう。

 

ここで我々が得るべき教訓は何か、ですが、目標とするHbA1cは、もしかすると7.0未満では高すぎるのかもしれない、ということです

(日本におけるHbA1c7.0未満という数字は、主にKumamoto studyという小規模研究によって導き出されていたはずですが、3大合併症が発症・進行しづらくなる基準であって、がん等の併発症による死亡率まで考慮していなかったと記憶しています)

 

今回の話をまとめれば、

HbA1c6.5以上 死亡率2.6倍 がん2.5倍

HbA1c5.7~6.4  死亡率1.5倍 がん2.3倍

HbA1c5.6以下 基準値(1.0倍)

ということになります。

糖尿病患者の死因第一位であるがんの予防を考えた場合、目標数値は5.6以下が望ましい可能性がある、と考えられないでしょうか。

実は、糖尿病治療のエッセンス2022でも、「血糖値正常化を目指すための指標」としてHbA1c6.0未満という基準を出していたりします。(診察室で1回も聞いたことないので、医師の間でもどれだけ認知されているかは不明ですが・・・)

 

しかも、インスリンの量を増やすような治療を行わずに、HbA1cを下げることが望ましいです。

インスリンは、血糖値を下げる(血糖を細胞に取り込む=人を太らせる)働きを持つホルモンであることはよく知られています。(だからインスリンが枯渇した糖尿病患者はやせます)

しかし、がんの原因になっている可能性が高い、ということはあまり知られていません。

 

糖尿病の人はがんの発症リスクが高い メカニズムを解明 新たながん予防法や治療法に期待 | ニュース | 糖尿病ネットワーク 様

 

つまり、HbA1c5.7%未満を目指した方が望ましいが、インスリン量を増やすような治療をしてはならない、ということになります。となると使える薬はメトホルミン、SGLT2阻害薬くらい?

 

実現可能性はともかくとして、我々の目標とすべきHbA1cは実は7.0%未満ではない可能性があります。

もし、目指せるのであれば「血糖値正常化を目指すための指標」である6.0%未満、もしくは高いがん予防効果が見込めそうな5.7%未満を最終目標と考えておいた方が良いのかもしれません

 

 

マダオが気になる糖のニュース NO.07
ケアネット様、糖尿病ネットワーク様ありがとうございました。

 

 

当ブログの代表的な記事はこちら。

HbA1c9.7→4.8にするために何をしたか公開中。

beast-of-no-possibility.hatenablog.com

 

 

CGMマダオがイチオシする商品の一覧はこちら。

beast-of-no-possibility.hatenablog.com

 

 

なお、本記事はマダオ個人の体験談とそれに基づく感想です。

個人個人で体質も糖尿病の重症度も違いますので、運動・食事等については自身の主治医や栄養士など専門家の意見を参考に行って下さい。

 

参考にした著作・HP・動画は当ブログ管理人のマダオが自身の糖尿病生活の参考にするため、閲覧させていただいている先であり、当ブログとは一切関係がありません。当ブログの記述に不正確さがあった場合、全て管理人のマダオに責任があります。