可能性のない獣

半寝たきりの2型糖尿病患者が書くあれこれ

『世界最有効の糖尿病対策』をHbA1c4.8の糖尿病患者が読んでみた

はい。こんにちは。

マダオです。

 

ゆきなり先生の動画で『世界最有効の糖尿病対策』という本がオススメされていたので、購入して読んでみました。

本を読むのも体力を使うので、1ヶ月くらいかけてチビチビと読んだ第一印象としては、素晴らしい本だということです。

マダオの主張と重なる部分も多かった反面、これは違うんじゃないかと思う部分もあり、とても興味深い内容でした。

この内容が定価2,000円足らずで購入できるわけですから、お買い得と言って良いでしょう。

 

しかし。

素晴らしいとは思うんですが、どうオススメしていいのか・・・。

専門家が執筆した400Pにも及ぶ本を、著作権に触れずに紹介するのは、どうすればいいのでしょう。

褒めるにせよ、貶すにせよ、内容に触れないわけにはいかないですからね。

 

悩んだのですが、同意できる部分を書くと、必然的に本の核心的な内容を詳しく書くことになってしまうので、マダオ的に同意できない内容のみ軽く書いていこうと思います

少し辛辣な内容になりますが、この3点以外は概ね信じて良いとマダオは判断しています。

 

素晴らしい内容ですが、同意できない点が3つだけあります

 

①糖尿病は治る病気だという主張

これは全面的には同意できません

糖尿病が危険だと言われる所以は、合併症・併発症で命を落とすからです。

血糖コントロールが悪いことにより死ぬ人は、ほとんどおらず、合併症・併発症で亡くなります。

つまり、合併症、併発症含めての糖尿病です。

著者の主張する方法で血糖値を是正できたところで、合併症・併発症を発症させない、悪化させないことができなければ無意味です。

そして、合併症・併発症は一般的に何十年もかけて進行すると言われています。

著者がいつから新しい治療法を提唱しはじめたのか分かりませんが、それほど長期間の観察実験が可能だったとはとても思えません

そして、残念なことに、糖尿病は予備軍(HbA1c5.7~6.4)の段階から、全因死亡率が1.5倍になるという研究報告があります。予備軍の段階でも一部の合併症・併発症が進行・発症するというのがその理由のようです。(最悪なことにガンでの死亡率は2倍超!)

つまり、1番大事な合併症等の対策となっているかは現時点で不明である以上、糖尿病を治せる、と主張するのは気が早すぎると思うわけです。

 

糖尿病が治せないなら、本書のウリは何か?

本書は、効果的に血糖値(HbA1c)を下げる方法を主張しています

そして、それはかなりの妥当性があると思います。

 

言いがかりのようで恐縮ですが、あくまで糖尿病を綺麗に治す手段が書いているわけではなく、これからの血糖コントロールが上手になる方法が書かれている本だと認識して下さい。(それでも十分画期的且つ有益な内容だと思います)

 

②血糖値はアテにならない、と読める主張があること

糖尿病は、一般に尿に糖が溢れる病気と認識されていますが、実際は、血液にも糖が溢れており、内臓どころか、あまねく体の隅々まで糖が溢れる状態になっている状態のことだとマダオは認識しています。

綺麗に体に入り切らないから、本来、糖が入ってはいけない場所に糖が入り込む(過剰な血糖、尿糖が検出される)わけですね。

つまり、糖尿病のマーカーとして血糖値やHbA1cを使用することは理にかなっています

 

ただし、インスリンを増やす薬物等を使用していると話が変わります

インスリンは、血糖値を下げる効果がありますが、それは血糖を細胞に無理やり叩き込む(人を太らせる)という効果の裏返しです。

つまり、著者は、インスリンを薬物等で増やすと、糖で溢れた体内に更に糖を叩き込むことで、血糖がスッキリした状態に見えるようになるから、血糖値がアテにならないことがある、と言っているのです

(そのはずなのですが、どうも血糖値測定に重きをおいていない論調なのが非常に気にかかります。血糖を測定せずにどうやって糖尿病の改善効果を測定するというのか?そして、急激な血糖是正は突然死や合併症の増悪リスクがある、という事実への対策はどうするのか?対策の結果、血糖値が下がりすぎる可能性を考えていないのか?HbA1cの話をすることがあるものの、血糖値そのものには興味がなさそうなのが不思議です)

 

③1週間(168時間中)で合計120時間前後の断食を勧めていること。

今流行りの16時間断食と合計時間はほぼ同じですが、やり方は異なりますので、やりたい方は本書を読んでみて下さい。

有効な対策のうちの1つ、最終手段的な扱いをしていますが、マダオはちょっと試す気がしません。というか、これ以上HbA1cが下がると低血糖⇨昏睡になる可能性が高いので試せません。

あまりに過激すぎます。1回12時間の断食でも結構クルものがあるというのに、それをまとめて行うとか狂気の沙汰です。

しかも、食事の内容にも、まぁまぁ厳し目の制限がついた状態で・・・。

これ一生続けるんですか・・・?それも血糖測定しない状態で??

食事の内容を制限した状態で、且つ1週間の食事の回数を半分程度にまで減らせば、確かにやせるだろうし、体に溢れた糖も消えるだろうけど、長期的な安全性って確かめてます??

論理的に正しく見えることと、実践して正しいことの間には天地の差があります。

 

この手の自然派の論理には、『彼らが参考にしている昔の人類は今と比較できないほど寿命が短かった』という事実が絶対に出て来ないです。

たしかに昔の人達は糖尿病にはならなかったし、ガンにもほとんどならなかったでしょう。しかし、それは栄養状態が悪く平均寿命が40歳にも満ちていなかったためです

 

『栄養状態を悪くすれば、ほら、解決☆』というのは、正しいのか正しくないのか、それは数千人の食生活を完全に管理した上で、その一生を追跡しないと結論が出せないのではないでしょうか。

事実、戦後の日本人は糖尿病患者が激増しているにも関わらず一貫して平均寿命が伸び続けています。つまり、日本人トータルで考えると豊富な栄養があることによる利点が糖尿病が増えることによる欠点を上回っている可能性すらある、ということです。

 

本書が広くオススメされていないのは、特に断食に関連する過激な主張があるせいなのではないかと思います。それまでの丁寧な論調を一気にひっくり返す過激さは、違和感すら覚えます。

 

まとめ

ガチの糖尿病患者でHbA1c9.7⇨4.8にした経験を持つマダオからすると、本書は、非常に興味深い読み物で、なるほどと納得させられる部分が大半です。

とにかく論理的に糖尿病を読み解く姿勢は、非常に好ましく感じました。

 

しかしながら、自身の経験から上記の3つの疑問点が出てくるのです。

そして、本書の著者は、間違いなく糖尿病患者ではない、とも確信できてしまいます。

おそらく近親者にも糖尿病患者はいないのではないでしょうか。

一見、論理的に正しく見えても、HbA1cを下げることに重きを置きすぎ、効率化にこだわるあまり、過激で一律的な基準を適用しようとする様は、一種の危うさを感じます

 

基本理論については、本書の内容に異論はありません。

しかし、対策部分については、血糖測定器(とりわけCGM)を使って効果測定を行うこと、いきなり奇抜な制限(特に断食)は行わなず少しずつ試していくことを心がけた方が安心できると思います。

糖尿病対策は、その重症度、個々人の体質、1日の活動量によって大きく変わるのですから。

 

ちなみに糖尿病だった祖父が存命だったとしても、マダオはこの本を手放しではオススメできなかったでしょう。一定以上の情報リテラシーがないと何かの拍子に大事故を起こしそうで不安があります。ここまで本ブログを読める方であれば、問題ないでしょうが、一般論としてご高齢の方にはオススメしにくいです。

 

ということで、いかがでしたでしょうか?

マジで勉強になる本なので、良いところも詳しく説明したいところですが、コンプラ違反はデンジャラスですからね。

ご興味あれば、ぜひどうぞ。

 

 

 

 

当ブログの代表的な記事はこちら。

HbA1c9.7→4.8にするために何をしたか公開中。

beast-of-no-possibility.hatenablog.com

 

 

CGMマダオがイチオシする商品の一覧はこちら。

beast-of-no-possibility.hatenablog.com

 

 

なお、本記事はマダオ個人の体験談とそれに基づく感想です。

個人個人で体質も糖尿病の重症度も違いますので、運動・食事等については自身の主治医や栄養士など専門家の意見を参考に行って下さい。

 

参考にした著作・HP・動画は当ブログ管理人のマダオが自身の糖尿病生活の参考にするため、閲覧させていただいている先であり、当ブログとは一切関係がありません。当ブログの記述に不正確さがあった場合、全て管理人のマダオに責任があります。