可能性のない獣

半寝たきりの2型糖尿病患者が書くあれこれ

糖尿病薬は糖尿病患者の死亡率を下げない

はい。こんにちは。

マダオです。

 

皆さんは普段使用している糖尿病薬の効果について気になったことはありませんか?

副作用が出ることを気にしている人は多いですが、どんな効果をもたらしているのか把握はされてますでしょうか?

 

現状、HbA1cを下げるべく2型糖尿病患者の85%前後が何らかの薬を使用しています。

そして、その平均HbA1cは7.0%をわずかに超える水準になっています。

診察室では7.0%未満を目指せと言われ、薬を処方されることからも、概ね医師の目標に近い治療状況であると推測できます。

 

しかし、治療をほぼ目標通り行えているにも関わらず、糖尿病患者の平均寿命が健常者と比較して10年近く短い、という事実は何を意味しているのでしょうか?

 

マダオが参考にしたHP:

寿命が10年縮む糖尿病~大切な血糖値の自己管理~|医療ニュース トピックス|時事メディカル|時事通信の医療ニュースサイト

 

その理由について、こうは考えられないでしょうか?

糖尿病薬はHbA1cを下げているだけで、糖尿病を本質的に改善する効果まではないと。

糖尿病の改善効果が本当にあるのなら、平均寿命も健常者に近い水準に伸びていてしかるべきです。

HbA1cを下げているにも関わらず、寿命の改善効果が見られない以上、薬には何か問題があるはずです。

激しく寿命を削るほど強い毒性(副作用)があるのでしょうか?

それとも糖尿病は本来20年以上寿命を削るような病気で、薬の効果により10年に改善しているということなのでしょうか?

いいえ、そうではありません。

 

そもそも薬はリスクとベネフィットを天秤にかけて開発されます。

薬自体に毒性(副作用)があり、本来の寿命を5年削ったとしても、糖尿病抑制により寿命が10年伸びれば、差し引き5年のプラスで有用判定されます。(実際はもっと短期間の簡略化されたプロセスで判定するため、本当にベネフィットが優るか怪しいものが多いですが…)

 

そして、その毒性の強度は、健常者で人体実験でもしない限り正確に把握は出来ません。しかし、薬にはある程度の毒性(副作用)は織り込み済みだ、ということは事実です。

高度な教育を受けた医師しか処方の権限がないのも、糖尿病薬が一種の毒物だからに他なりません

 

とはいえ、寿命をド派手に削るような副作用があれば、さすがに問題になります。薬の本来の目的はHbA1cを下げることではなく、患者の寿命を伸ばすことなのですから。

 

だとすると糖尿病は、本来寿命を20年は縮めるような病気であり、薬の使用で10年程度に抑制しているのか?

これも結論としてはNOです。

薬は高血糖による弊害の一部を誤魔化しているに過ぎず、本来の目的である寿命の伸長効果まではないのです。

実際、以下のHPにある治療中の糖尿病患者の全因死亡率の統計データを見てもらえば分かりますが、HbA1c6.0%を超えてしまえば、大きく死亡率は変わりません

つまり、薬を使ってHbA1c7.0%にしたところで、死亡率は高いままだということです。

 

マダオが参考にしたHP:

ヘモグロビンA1cと総死亡・循環器疾患死亡との関連(NIPPON DATA90、15年追跡、男女計) - NIPPON DATA 様

 

日本人7,000人を15年追跡した上記コホート研究において、死亡リスクは以下の通り。

5.0未満 1.0倍

5.0-5.4  1.08倍

5.5-5.9  1.07倍

6.0-6.4  1.95倍

6.5以上 1.72倍

糖尿病治療中 1.80倍

 

ヘモグロビンA1cと総死亡・循環器疾患死亡との関連(NIPPON DATA90、15年追跡、男女計) - NIPPON DATA 様

 

現在、治療の対象と見なされていない糖尿病予備軍の段階から死亡率は明確に上がっており、それが6.5%以上になろうが糖尿病治療中になろうが大きな違いはありませんよね?

つまり治療を行うなら、HbA1c6.0%未満を目指す必要があり、7.0%未満という目標値は正しくないことになります。

では、なぜ目標値は7.0%未満なのか?

薬を安全に使用できるのが、そこまでだからです

薬を大量に使えば、もっとHbA1cを下げることはできますし、実際過去にそういう取り組みもされました。しかし、薬物療法で7.0%より更に大きくHbA1cを下げると死亡率が20%超上がってしまったのです。(ACCORD試験)

薬によるリスクがベネフィットを超えないのが、7.0%のラインなのです。

 

もちろん、薬を使ってでもHbA1c7.0%未満を目指す意味はあります

3大合併症の発症率が下がるので、QOLが上がります。割合は元々多くないものの、足壊疽や透析での死亡率も減るでしょう。

しかし、多くの糖尿病患者の寿命に直結するのは、薬を使わない状態の素のHbA1cで、その限界点は6.0%未満である可能性が高いです。糖尿病患者の死亡原因1位であるガンや次点の循環器疾患の対策とするにはHbA1c7.0%未満では高すぎる、ということなのでしょう。

 

そういえば以前、ご紹介した記事においても日本人を対象とした研究でHbA1c5.7-6.4%で全因死亡率が1.5倍になったという報告がありましたね。

beast-of-no-possibility.hatenablog.com

 

 

糖尿病の診断基準はHbA1c6.0%以上にした方がよいのではないか、とか治療の目標値は6.0%未満のみにすべきではないか、とか思うところはありますが、話がとっ散らかるので以下割愛。

とにかく、7.0%前後が薬で下げてよいHbA1cの限界ラインなのは間違いないのですが、その水準では糖尿病患者の高い死亡率の改善にならない可能性が高いのです。

 

我々糖尿病患者は、なぜか薬の善し悪しや、副作用について気にしますが、初めから薬は毒物と紙一重だという認識が欠けています。

糖尿病薬はHbA1cこそ下げますが、安全に下げられるHbA1cには限界があり、特に死亡率の観点からはリスクとベネフィットはトントンくらいの代物でしかないと思っておいた方が良いのではないでしょうか。

 

統計上、糖尿病薬は寿命を伸ばすという本来の目的を達成していない。
やはり最後に頼れるのは『食事8割、運動2割』という基本ではないだろうか。

 

 

なお、上述のコホート研究は2013年、ACCORD試験は2008年の発表であり、以降に発売された新薬も同様であるのかはマダオには分かりません。

実際、アメリカ糖尿病学会では2022年に既存のメトホルミンに加えて、新薬のSGLT2阻害薬、GLP1受容体作動薬が条件付きで第一選択薬に指定され、新しい流れができかけている気配を感じます。

しかし、それら新薬が寿命10年分の差をどれだけ覆すことができるのか?

マダオの所感としては、有用ではあるものの飛躍的なブレイクスルーとまでは言えなそう、というものです。

新薬といえど寿命の伸長効果にはそこまで大きな期待をしない方がいいでしょう…。

 

 

当ブログの代表的な記事はこちら。

HbA1c9.7→4.8にするために何をしたか公開中。

beast-of-no-possibility.hatenablog.com

 

 

CGMマダオがイチオシする商品の一覧はこちら。

beast-of-no-possibility.hatenablog.com

 

 

なお、本記事はマダオ個人の体験談とそれに基づく感想です。

個人個人で体質も糖尿病の重症度も違いますので、運動・食事等については自身の主治医や栄養士など専門家の意見を参考に行って下さい。

 

参考にした著作・HP・動画は当ブログ管理人のマダオが自身の糖尿病生活の参考にするため、閲覧させていただいている先であり、当ブログとは一切関係がありません。当ブログの記述に不正確さがあった場合、全て管理人のマダオに責任があります。