はい。こんにちは。
マダオです。
まずはコチラをご覧下さい。
信州大学の大岩先生が執筆された糖尿病診療ガイドライン2019の解説です。
http://s-igaku.umin.jp/DATA/68_04/68_04_07.pdf
大岩先生は日本糖尿病学会の医師向けセミナーで講師をされるなど、我が国の糖尿病専門医の中でも特に知識と熱意を持った方です。
解説を要約すると
〇海外では標準体重(BMI22)という概念自体がない
〇よって『標準体重を目指すためのカロリー制限』という指導も海外では存在しない
〇日本人の糖尿病患者で1番死亡率が低いBMIは20~25とかなり幅広いことが分かっている
〇75歳以上の高齢患者に至ってはBMI25を超えても特に死亡率は上がらない
〇患者の栄養については個別性が強く柔軟に考慮する必要がある
〇大事なのは量ではなく質だと思われる
ということです。
何の病気の治療でも同じですが、その治療法により患者の死亡率をどれだけ下げるかが有効性の目安とされます。
糖尿病患者の死亡率が1番低いBMIが20~25であるならば、半数以上の糖尿病患者は体重を治療の目安とすることはおかしい事になります。
実はここ20年ほど2型糖尿病患者のBMIは平均で24.1%から25.0%だからです。
つまり、少なくとも患者の半数ほどは最も死亡率が低いBMI帯に位置しており、やせることによる死亡率低減効果は見込めないことになります。
また1年以内に10%以上体重を減少させても、糖尿病を寛解(※)できる人は5%しかおらず、しかもそのうち3分の2は1年後には悪化する、という残念な研究結果も、やせる意義について疑問を投げかけます。
関連記事:糖尿病寛解者の統計データを寛解中の糖尿病患者目線で考える
(※)寛解とは:投薬なしで3ヶ月以上HbA1c6.5%未満に維持している状態
2型糖尿病患者は、日常的に『やせろ、体重を減らせ』とプレッシャーをかけられます。しかしBMI25以内の患者が体重やカロリーに着目する意義は果たしてあるのでしょうか?
なお、今回の大岩先生のお話の本題は、高齢患者の栄養基準の見直し(一律BMI22%基準を65歳以上のみ緩和した)がなぜ行われたかについての解説です。しかし、その根拠として出された論文は高齢患者だけに限った話と解釈する必要はありません。栄養や体重の基準については海外(特にアメリカ糖尿病学会)の内容に徐々に近づいていくものと思ってよいでしょう。
ですが、誤解なきよう申し上げます。今回の大岩先生の解説では、全ての患者に体重抑制が不要だと言っているわけではなく、『肥満者』には必要だと釘を刺されています。ただ、海外での『肥満者』基準は大体BMI30ですし、日本でも25ですので、結局は半数の患者に体重目標を掲げる必要はないことになります。
糖尿病を体重やカロリー量で考えるな!
以上の主張をマダオは本ブログで繰り返しています。
まずカロリーと血糖値には必ずしも関連性はありません。
またBMIが30近くても血糖コントロールを取り戻すことは可能です。
やせることは糖尿病改善に必須・前提条件だと考えるのは間違いです。
血糖値が下がった結果としてやせるというのが正解です。
カロリー制限など他の手段でも痩せなくはないですが、それでは血糖値は下がりません。
また血糖値の上がり方は人により千差万別で個別性が高く、食品をカロリー量で選択するのも間違いです。
大事なのは食品の量ではなく質です。
血糖測定を通じて、自分の血糖値を上げにくい食品を探すのが、糖尿病改善の近道となります。
繰り返しになりますが、体重やカロリー量を減らすことは、糖尿病治療ではありません。
医学用語ですらない『生活習慣病』という概念に基づき、痩せる治療にこだわった結果が糖尿病の寛解率1%という惨状です。
糖尿病患者が下げる必要があるのは血糖値だけです。
注目すべきは血糖値のみであり、適切に血糖値さえ下げればいずれ体重も下がるのです。
順番がアベコベなうえ、半分以上の患者の死亡率を下げるかどうか怪しい『痩せろ』という指導には大きな疑問を呈さざるを得ません。
当ブログの代表的な記事はこちら。
HbA1c9.7→4.8にするために何をしたか公開中。
beast-of-no-possibility.hatenablog.com
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なお、本記事はマダオ個人の体験談とそれに基づく感想です。
個人個人で体質も糖尿病の重症度も違いますので、運動・食事等については自身の主治医や栄養士など専門家の意見を参考に行って下さい。
参考にした著作・HP・動画は当ブログ管理人のマダオが自身の糖尿病生活の参考にするため、閲覧させていただいている先であり、当ブログとは一切関係がありません。当ブログの記述に不正確さがあった場合、全て管理人のマダオに責任があります。