可能性のない獣

半寝たきりの2型糖尿病患者が書くあれこれ

【分析】あなたの透析リスクはどれほどなのか?【とうにょうちゃん】

はい。こんにちは。

マダオです。

 

本日はとうにょうちゃんの話題です。

以下の動画で、とうにょうちゃんは、尿中微量アルブミン値とクレアチニンを公開して、『透析にまた一歩近づいた』と語っています

 

www.youtube.com

 

しかし、はたしてその危険性はどれほどのものなのでしょうか?

ゆーても、とうにょうちゃんって糖尿病成りたてやん?大した事ないんちゃうの?

そう思う方も多いのではないでしょうか。

しかし、医者は暇ではありません。

大したリスクもないのに検査などするはずがありません。

また腎臓が悪くなるということは、即ち死亡の危険性が跳ね上がるということに他なりません。

では、とうにょうちゃんの場合、具体的にどれほどの危険性があるのでしょうか?


端的にいきましょう。

とうにょうちゃんの数値(egfr132前後、尿アルブミン80)だと

透析オッズ比は2.9

死亡オッズ比も2.9となります。

 

これは日本腎臓学会が策定したCKD診療ガイド2024に、明確なグラフとして記載されています。

 

引用:日本腎臓学会 CKD診療ガイド2024

「CKD診療ガイド2024」「患者さんとご家族のためのCKD療養ガイド2024」刊行のお知らせ-医療従事者のみなさまへ-一般社団法人 日本腎臓学会|Japanese Society of Nephrology

 

ここでオッズ比とは何ぞや?と思った方は鋭いです。

医療統計でよく使われる言葉なのですが、リスク比とは似て異なるものです。

とはいえ、死亡のような発生頻度の低いイベントであれば、リスク比の近似値になるので、そのままリスク比と読み替えても概ね問題ありません。

ただし、比較されるグループでのイベント発生率が10%を超えると指数関数的にオッズ比の数字だけが大きくなります。ですので、本グラフの透析データを読む場合、オッズ比40以上のグループは、リスク比よりだいぶん高い数字が表示されていると思った方が良いでしょう。(オッズ比2,547のグループは健常者の2,547倍透析になりやすいわけではない。実際はもっと低く400倍程度と思われる)

以上を踏まえると、上記のとうにょうちゃんの場合、オッズ比≒リスク比なので、透析リスク・死亡リスクはどちらも概ね2.9倍と読めることになります

なおオッズ比について、もう少し詳しく知りたい方は下記HPをご覧下さい。

https://med-statacademy.com/storage/moviefile/192/NcgmJLgMVBMS2v0PgbAh12MKzEdAkeL31Rgbzztj.pdf

 

ちなみに現在のマダオの数値(egfr90、尿アルブミン11)だと

透析オッズ比は1.8、

死亡オッズ比は1.3です。

マダオHbA1cだけは4.7%になっているものの、健常者とは程遠いハイリスク患者の1人と言えます。

 

マダオの話はさておき。

とうにょうちゃんの場合、egfrが非常に高いので当面は安心!というわけではありません。

一時的なegfrの上昇は糖尿病性腎症の初期症状だからです。

そしてegfrは以下の図のように劇的に悪化することが多いのです。

 

引用:糖尿病サイト 糖尿病性腎症と検査値

糖尿病性腎症と検査値 | 糖尿病サイト


適切な対処を怠れば、ある日突然、この雪崩のような悪化を経験することも有り得ます

逆に早期なら腎症のステージを後戻りできるとも言われており、マダオも透析オッズ比10、死亡オッズ比1.7の状態から、3年以上を費やして少しずつ後戻りしている最中です。

 

ということで、色々言いましたが、尿中の微量アルブミン値検査がいかに重要か伝わりましたでしょうか

尿蛋白にプラスが出たり、egfrが低下し始めてから慌てても手遅れの可能性が高く、透析まっしぐらとなってしまいます。後戻り可能な腎症1期と2期は、尿中アルブミン値を見ない限り、診断も対策も不可能だからです。

 

腎臓は膵臓と同じく消耗品であり、完全に壊れると2度と復活しません。

そして腎臓の機能が壊れると見ての通り、一気に死亡リスクが跳ね上がります

 

引用:日本腎臓学会 CKD診療ガイド2024

 

とはいえ尿中アルブミン値を把握したとして、私たちに何ができるのか?と思うことでしょう

耳タコではあるでしょうが、できる限り早く高血糖、高血圧、高脂血症改善に取り組むことです。

尿中アルブミンが出始めたら、もはや一刻の猶予もありません

そのために生活を見直すとともに、薬の服用も検討した方が良いでしょう。

実は、腎保護作用のある薬はいくつも存在しています

 

アンジオテンシン変換酵素阻害薬
アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬
SGLT2阻害薬
GLP-1受容体作動薬

などが該当しますが、意外と知らない医師も多いようです。

(現にとうにょうちゃんも処方されていないようです)

 

マダオが参考にしたHP:糖尿病腎症は主にどのような薬で治療しますか?副作用はありますか? |糖尿病腎症 | 症状検索エンジン「ユビー」


糖尿病性腎症は、既にかつてのような制御できない死病ではなく、早期発見・早期治療で進行を抑制できるモノになりつつあるのです。

この際、使えるものは何でも使っていきましょう。

 

大事なのは目的地にたどり着くことであって、この際、手段は何でもいいのだ

 

ちなみに、今回のお話は純粋に腎臓病の観点からの研究なので、糖尿病患者の場合はもう少し各種リスクは高いと思った方が良いでしょう。

透析患者のうち4割が糖尿病とはいえ、残りの6割の人は少なくとも高血糖由来の危険なアレコレはないので…。

 

ということで、最後にエールを。

頑張れ!とうにょうちゃん!

腎症はヤバいけど、早期治療の効果は大きいぞ!

 

 

その他のとうにょうちゃん関連記事はこちら:

beast-of-no-possibility.hatenablog.com

 

 

当ブログの代表的な記事はこちら。

HbA1c9.7→4.8にするために何をしたか公開中。

beast-of-no-possibility.hatenablog.com

 

 

CGMマダオがイチオシする商品の一覧はこちら。

beast-of-no-possibility.hatenablog.com

 

 

なお、本記事はマダオ個人の体験談とそれに基づく感想です。

個人個人で体質も糖尿病の重症度も違いますので、運動・食事等については自身の主治医や栄養士など専門家の意見を参考に行って下さい。

 

参考にした著作・HP・動画は当ブログ管理人のマダオが自身の糖尿病生活の参考にするため、閲覧させていただいている先であり、当ブログとは一切関係がありません。当ブログの記述に不正確さがあった場合、全て管理人のマダオに責任があります。