はい。こんにちは。
マダオです。
『糖尿病患者である家族が間食や暴食をやめない』
『私の言うことを聞かない』
『私はこんなに心配しているのに糖尿病をドンドン悪くする』
昔からこんな悩みを愚痴る糖尿病患者の家族はとても多いように感じます。
(ネットで見かける自称医療従事者にも多いですね)
こういう人に対してマダオが思うのは
『お気持ち表明では糖尿病は決して良くならない』
という事です。
物事は全て
『自分が何をしたか』
『その結果どういう成果を得たか』
この2軸を数字で評価されます。
上記の状況は
『患者の家族として心配して色々した結果』
『本人の糖尿病(HbA1cの数字)が悪化した』
ということになります。
良くない結果が出ている時に、『本人がおかしい!努力不足!だらしない!』と決めつける家族はとても多いですね。
もちろん本人はおかしいです。
何せ病気なので、常人には理解し難い行動を取ることも多々あるでしょう。
例えば異常な食欲。
これは糖尿病患者特有の行動です。
人は血糖値が下がるとお腹が減ったと感じます。
これは餓死しないために脳が出す危険信号です。
ただ、健常者の感じる空腹感と糖尿病患者の感じる空腹感は、全く次元が異なるものです。
健常者の血糖値の変動幅はおよそ70。(70~140)
対して糖尿病患者の変動幅はそこまで重症でなくとも200に迫ります。(100~300)
血糖値が70下がるだけでも結構辛いでしょうが、200下がったら冗談では済まされません。
血糖値が200下がると大半の人は死にます。糖尿病患者でもタイミングによっては普通に死にます。
よって脳は『死にたくなければ今すぐ栄養を取れ!』と強い命令を出すのです。
これが糖尿病患者の異常な食欲の正体です。
健常者では3日間断食したところで、この飢餓感を味わうことはできません。自分の腕の肉を食いちぎりたくなるような、まさに『飢餓感』を日常的に味わっているのが糖尿病患者なのです。これを気合いや根性で克服しろというのは絶対に無理です。下手したら低血糖からの昏睡で死にます。
では、この飢餓感を克服する方法はあるのか?
あるとして糖尿病を改善出来る人はどれだけいるのか?
まず糖尿病は現代医学では絶対に治らない、進行性の病気である、という認識が欠けている人が多いです。
医学用語ですらない『生活習慣病』というカテゴリーのおかげで、生活習慣を正せば治る、最低でも改善する、と思っている人がとても多いようです。(実態は遺伝と老化が主因の病気であり、死と同じく避けようがないものであるにも関わらず、です)
また薬が糖尿病を良くしてくれると誤解している人もとても多いです。
しかし、医師の勧める療法も、処方薬も、高血糖から生じる様々な弊害の発生を少しでも先送りにするためのものであり、糖尿病を根本的に改善させる効果などないのです。
関連記事:
実際、糖尿病の寛解という概念が存在します。
①投薬なしで
②3か月間
③HbA1cを6.5%未満にする
という3条件を満たせばよいのですが、達成できるのは、全患者の1%に過ぎません。
また3ヶ月ではなく1年維持できる人は、たった0.3%です。
ガンの寛解は5年で判断されるのに、糖尿病の寛解はたった3ヵ月なのは、達成出来る人がまずいないからなのです。
ちなみに別の研究ですがHbA1c5.7%未満を5年間、薬無しで維持できた人は0.004%しかいませんでした。
関連記事:
さて、ここで質問なのですが、皆さん、もしくはそのご家族はどれだけの努力ができる人なのでしょうか?
100人中なら確実に1番になれますか?(上位1%)
もしかしたら1,000人集めてもトップ3に入れますか?(上位0.3%)
でも流石に10万人中のトップ4に入れる人はまず居ないでしょう。(上位0.004%)
糖尿病の長期的な改善というのは、HbA1cしか見ない現状のやり方ではまず達成できない超絶難易度のお話なんですが、どうにも簡単に考える人が多過ぎて困ります。
ピンと来ない方のために他の分かりやすい事例とともに比較してみましょう。
純金融資産5千万円保有 8.8%(2021年。国内。世帯別)
膵臓癌5年後生存率 8.5%
純金融資産1億円保有 2.7%(2021年。国内。世帯別)
寛解3ヶ月 1% (投薬なしでHbA1c6.5%未満。国内)
寛解1年 0.3% (投薬なしでHbA1c6.5%未満。国内)
医師の人口比率 0.24%(2019年。国内)
純金融資産5億円保有 0.17%(2021年。国内。世帯別)
完全寛解1年 0.024%(投薬なしでHbA1c5.7%未満。海外)
完全寛解5年 0.004%(投薬なしでHbA1c5.7%未満。海外)
こうして見ると糖尿病の長期的改善という目標がどれだけ難しいかお分かりいただけるでしょう。
糖尿病をたった3ヵ月改善させるほうが、生涯で1億円の純金融資産を貯めるより遥かに難しいのです。
この統計的事実を踏まえた上で、なお患者本人の行動を責めるというなら止めません。
ご自分の『努力』を誇るのも良いでしょう。
ただし、今のやり方で結果がでていないから、『あなた』とご家族は望ましくない99%の側にいるのです。
結局、『あなた』が確実に変えられるのは自分自身の行動だけです。
無謀な目標を押し付けて、弱った病人をいくら虐めても、良い結果が出ることはありません。
結果の出ないやり方はやめた上で、目標をどこに置くのか、よくよく考えることをお勧めいたします。
参考までに。
糖尿病患者の普通のラインは、HbA1c7.0%です。これは薬の使用を制限せず、真面目な専門医が、真面目に通院する患者を治療しての数字です。実際問題、服薬してのHbA1c7.0%未満という目標ですらおよそ半数の人は達成できないのです。
とにかく。
何より頭に入れておいて欲しいのは、医師の言う通りに治療しても99%以上の確率で糖尿病は有意に改善してくれない、ということです。
必要なのはお気持ちではなく、数字を伴う結果です。
1億円を貯めたければ、適切な年収(数字)と、適切な貯蓄率(数字)、適切な運用期間(数字)が必要になるのと全く同じで、根拠となる血糖値(数字)を毎日こまめに測定し、より良い方向に積み重ねていく以外に糖尿病改善の道は無いのです。

残念ながら、これが現実なのだ。
当ブログの代表的な記事はこちら。
HbA1c9.7→4.8にするために何をしたか公開中。
beast-of-no-possibility.hatenablog.com
beast-of-no-possibility.hatenablog.com
なお、本記事はマダオ個人の体験談とそれに基づく感想です。
個人個人で体質も糖尿病の重症度も違いますので、運動・食事等については自身の主治医や栄養士など専門家の意見を参考に行って下さい。
参考にした著作・HP・動画は当ブログ管理人のマダオが自身の糖尿病生活の参考にするため、閲覧させていただいている先であり、当ブログとは一切関係がありません。当ブログの記述に不正確さがあった場合、全て管理人のマダオに責任があります。